第14節、Fijian Druaに一点差で惜敗したMoana Pasifikaは最終15節でWaratahsに快勝しようやく初勝利となったSuper Rugby Pacific、そのファイナルが昨日、今年はわずか一敗しかしていないChiefsに対し、かたやBluesに大勝して順当に勝ち上がったとはいえ、Chiefsにはシリーズで2敗しているCrusaders。ハイライト映像しかみていないから何とも言えないが、結果だけみれば、どうしても試合巧者Crusadersという印象である。とまれ、これをもって2022-23年、世界中の主たるドメスティックリーグが終わったわけである。それぞれのリーグの決勝戦の結果を書きだしてみると、こんな風になる(Heineken Champions Cupもヨーロッパドメスティックである)。
Super Rugby Pacific(25 JUN)
- Waikato Chiefs 20-25 Canterbury Crusaders
Top14(17 JUN)
- Stade Toulousain 29-26 La Rochelle
Premiership(27 MAY)
- Saracens 35-25 Sale
United Rugby Championship(27 MAY)
- Stormers 14-19 Munster
Heineken Champions Cup(20 MAY)
- Leinster Rugby 26-27 Stade Rochelais
リーグワン(20 MAY)
- 埼玉ワイルドナイツ 15-17 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
こう書きだしてみても、このデータだけで何か予想めいたことが言えるわけではない。ただ、ヨーロッパ勢ならFranceとIrelandに注目せずにはおれないということは言いたくなる。
もちろんワールドカップを楽しみたくて言っているのだけれど、それならついでに、各国のラグビーユニオンのサイトから予定を拾って、7月8月の、ワールドカップまでのテストマッチの日程を書きだしておこう。
南半球は7月9日からChampionshipがはじまり、8月はウォームアップのテストマッチが目白押し。つい昨日までドメスティックリーグをやっていたかと思うとすぐに代表の試合なのだから、例年の大会とはいえ、選手の疲労は相当なものだろう。ワールドカップまで休みなし、である。
まずはAll Blacksから
Lipovitan-D Rugby Championship
- Argentina – All Blacks(9 JUL)
- All Blacks – South Africa (15 JUL)
- Australia – All Blacks (29 JUL)
Bledisloe Cup
- All Blacks – Australia (5 AUG)
Twickenham Test
- All Blacks – South Africa (26 AUG)
2023 Rugby World Cup
- France – All Blacks (9 SEP)
先日の記者発表でユニオンの例の代表の女性が「リポビタン ディ」(「デー」ではなかった)と発音していたAll Blacks候補の選出は、まずはLipovitan-D Rugby Championshipにむけての代表候補36名であって、日本に来るXV30名と合わせて76名に、9月のワールドカップの代表になる可能性を与えたということだろう。
南半球なら、次はSpringboksをみてみよう。
Rugby Championship
- Springboks – Australia (8 JUL)
- New Zealand – Springboks (15 JUL)
- Springboks – Argentina (29 JUL)
RWC Warm-Up
- Argentina – Springboks (5 AUG)
- Wales – Springboks (19 AUG)
- Springboks – New Zealand (25 AUG)
2023 Rugby World Cup
- Springboks – Scotland (10 SEP)
南半球の最後はAustralia。Englandのヘッドコーチを電撃的に解雇されたEddie Jonesだったが、ちゃっかり(かどうか知らないけど)Australiaのヘッドコーチにおさまると、通常は3名しか選ばない海外リーグのプレイヤーを今回、5名選んだのだそう。Bernard FoleyでなくQuade Cooperを選出しているのにはちょっと驚いた。
Rugby Championship
- South Africa – Australia (9 JUL)
- Australia – Argentina (15 JUL)
- Australia – New Zealand (29 JUL)
International
- New Zealand – Australia (5 AUG)
- France – Australia (28 AUG)
2023 Rugby World Cup
- Australia – Georgia (10 SEP)
北半球に目を移すと、ヨーロッパ勢の7月はおおむねマッチは組まれておらず、国内で調整ということだろう。まずは今度こそ優勝したいFranceから
SUMMER NATIONS SERIES 2023
- Écosse – France (5 AOÛT)
- France – Écosse (12 AOÛT)
- France – Fidji (19 AOÛT)
- France – Australie (27 AOÛT)
COUPE DU MONDE 2023
- France – Nouvelle Zélande (8 SEP)
つぎは、先のSix NationsではFranceにも勝利しグランドスラムのIreland
- Ireland – Italy (5 AUG)
- Ireland – England (19 AUG)
- Ireland – Samoa (26 AUG)
2023 Rugby World Cup
- Ireland – Romania (9 SEP)
先のSix NationsではパッとしなかったEnglandは
- Wales – England (5 AUG)
- England – Wales (12 AUG)
- Ireland – England (19 AUG)
- England – Fiji (26 AUG)
2023 Rugby World Cup
- England – Argentina (9 SEP)
Six Nationsではゴタゴタ続きだったWalesは
- Wales – England (5 AUG)
- England – Wales (12 AUG)
- Wales – Springboks (19 AUG)
2023 Rugby World Cup
- Wales – Fiji (10 SEP)
Six NationsでWalesよりもEnglandよりも好調だったScotlandは
THE FAMOUS GROUSE NATIONS SERIES
- Scotland V Italy (29 JUL)
- Scotland V France (5 AUG)
- France V Scotland (12 AUG)
- Scotland V Geogia (26 AUG)
2023 Rugby World Cup
- Springboks V Scotland (10 SEP)
最後に、今大会も期待充分の我が日本は、残念ながら強豪国とのマッチは組めなかったらしい。
- Japan XV – New Zealand XV (8 JUL)
- Japan – New Zealand XV (15 JUL)
- Japan – Samoa (22 JUL)
- Japan – Tonga (29 JUL)
- Japan – Fiji (5 AUG)
- Italy – Japan (26 AUG)
2023 Rugby World Cup
- Springboks V Scotland (10 SEP)
ところで、NZ Heraldのサイトを眺めているとこんな記事が目についた。かの国のラグビー界の大物(かどうか知らないけど)が最近のラグビーはつまらないと言っている、観客の数も減っている云々、それに対する現ヘッドコーチの反論らしい。たしかに、ハイレベルになればなるほどディフェンス重視、派手なランニングラグビーを見る機会が減ったような気がする。
ラグビーの戦術や歴史に詳しいわけでなく、さほど熱心でもない漫然としたラグビー鑑賞家である私の目には、こんな風に見える。大雑把に2000年くらいを境にして、前世紀の最後の20年くらいのラグビーをRugby1.0、それに対して、今世紀の最初の20年くらいのラグビーをRugby2.0としよう。2000年で区切らなくてもよい、Super Rugbyの開幕前後(Super 12が1996年だったらしい)でもよいし、例のピチピチジャージにビックリした2003年のワールドカップでもよい(ラインアウトのリフティングが公認されたのはそれ以前のワールドカップだったか?)。
Rugby1.0は、ボールをタッチに蹴り出し、細かくプレーを止め、相手ボールになるのを承知で、一時的なゲインを確保するという、タッチキックが一つの単位になっていただろう。それに対してRugby2.0では、できるだけプレーを止めない、ボールをキープし続ける、だから出来るだけ蹴らない、タックルされてボールが止まるブレークダウンから次のブレークダウンまでが一つの単位になるだろう。相手を遅らせること=時間差がゲインにつながるというラグビーの本質がむき出しになった形、私にはそんな風に見え、私はこの形のラグビーを「見ることを」楽しんでいたのだ。
とまれ、2000年ころにラグビーはRugby1.0からRugby2.0にブレークスルーを果たし、その流れが定着、そして20年後の現在に至るまで、Rugby2.0はディフェンス技術がアタック技術を凌駕する形で洗練を重ねた結果、ハイレベルのゲームは、ディフェンス対ディフェンスのような形に膠着することが目立つようになってしまった・・・・と、私にはそう見えるのだ。
すると結論はこうなる。ラグビーにはそろそろ次のブレークスルーが必要なのではないか、つまり、Rugby3.0である。
もしそんなブレークスルーが実現するとしたら、Rugby3.0とは一体、どんなスタイルなのだろう・・・・?
